デキル社員の第一歩

 またまた例の新入社員から電話がかかってきました。

「これこれこういう商品は別注出来ますか?」

 今度は別注の練習かよ!と思いましたが、ハナから生産不可能な商品なのであっさり「無理。」と断りました。あっさり「わかりました。」と切ってくれました。

 別注の場合ですと、ロットだの納期だの見積りだのという高度な話をしなければなりません。こちらはすでに擬似商談のつもりでいますから、もし生産可能な商品でも「出来ます。」としか答えなかったと思います。それで電話が終われば、上司に「納期大丈夫?ロットは何て言ってた?値段は?」と聞かれるでしょうから、その時はまた電話ください。そして次回の本番はそちらから先に必要枚数だとか希望納期を言って欲しいです。

 こちらとしては、電話をする前に最低限必要なことは教えて欲しいとは思いますが、まぁ、無駄に何度も電話して自分で覚えてくれても問題ないわけです。迷惑な会社ではありますが、この時期ですから大目にみます。ただし、この時期だけです。

 よく「上司が仕事を教えてくれない。」と言うのを聞きますが、実態はどうなんだろうと思います。
 このような実践できたえる派の会社ですと、課題を与えることがすでに教えているということになるのですが、そう捕らえていない新入社員も多いのではないでしょうか。電話して報告する度に確認洩れを指摘されたら、「先に教えてくれよ」という嘆きが聞こえるようです。恥をかかされたと感じるかもしれません。

 受けるこちらは新入社員のそんな電話には慣れていますし、たかが一回のことで判断はしませんので、初回の手間取りは恥に思う必要はないと思います。

 問題は次回です。上司は最初も2回目も同じ様に「別注出来るか聞いてみろ」しか言わないと思います。「今度はロットをちゃんと聞けよ。」などと優しいことは言ってくれないでしよう。ですが、2回目も最初と同じことを繰り返していると「使えないヤツ」の烙印を押されてしまいます。

 烙印を押されるのは社内だけでなく対外的にもです。電話は手短に要領よく終わらせて欲しいのです。こちらが逆質する度に「確認してから改めて電話します。」という言葉は聞きたくありませんので、先に上司に生産枚数の希望などを聞いてから電話してきてください。

 上司が仕事を教えてくれないと思っている人は、会社が実践派かどうか考えてみると良いと思います。得意先や取引先に教えてもらっているのに、気が付いていないのかもしれません。いちいち上司に言ってもらうことだけが教えてもらうことではないのです。

 何も課題を与えてもらえない、やることがないというのが本当に仕事を教えてくれない会社だと思いますが、こちらは上司が仕事を抱え込んでいる場合が多いと思います。これはもう取りに行くしかないです。「取る」のは「盗る」ですね。「何かやることありませんか?」と聞いたって仕事はくれません。「これ手伝います。」と盗ってしまうのです。大きなことではありません。上司が雑用作業と思っていることをやるのです。その中にも習得することもたくさんあると思います。

 結局仕事は、自から実践で覚えるしかないのですが、気を利かすことがデキル社員の第一歩ではないでしょうか。使える部下というのは、じれったくないものです。