二兎追うもの一兎も得ず

 長くないなぁと思っていた得意先が片目を出してしまいました。まだ片目とはいえ、この時期に片目なのがもうどうしようもないヤバい臭いプンプンです。

 この時期というのは、一般的なことでもイトヘンだからというのでもありません。その会社の特性から判断して、今が一番資金が潤達でなければならない時期のはずだからです。にも関わらず危ういのは、経営者一族の腹に計画的という文字があるのかもしれません。

 自分のところだけ儲けたい会社だったので、助けてくれそうなところは何処にも無さそうです。だからこそ資金が残っているはずの今、醜態を晒すハメになってしまったのでしょうが、綺麗に廃業する気骨もないのがこの会社らしいというか、やっぱりというか、同情の余地はありません。

 サンプルとサンプルを輸入した時の関税の立替え代金が未収だったので、早速サンプル回収に行ってきました。関税代金と出張が無駄に終わったのは諦めるしかないと思います。被害が少なかったので、潰れてくれたらむしろ清々すると思います。
 数年前から、何様ぁ?なこの会社との取引は止める方向で考えてきました。利益に対して仕事量が無駄に多く、その上、損大な態度なのが理由です。利益が薄くても誠意があれば協力する気にもなりますが、いつ梯子を外されるか分からない身勝手な会社とは手を組めません。小さな会社同士の商売は人柄が多く左右しますし、商社は一連託生な気持ちで付き合わないと不安です。

しかし、私はスパッと手を切るべきだと主張したのですが、営業担当は拡大するよう主張ていました。そこで、微々たる生産数量を2社に分散するより1社で取り組んだ方が、御社の買値は下がるし、弊社は手間が減るし、中国の工場も喜ぶし、と働きかけていました。

 しかしその誠意は伝わらず、この会社はそれを、一方的に言い分ばかりを押しつけられたと解釈したようで、ギクシャクしていました。

 国内生産で業界が安泰な場合は、1社でがっちり取り組んで信用を得るより、2社の良いとこ取りをするのも選択肢としてはあると思いますが、分母の小さい会社が中国生産をするなら、取り組む姿勢は重要です。信用第一ですから。

 良いとこ取りを選んだ結果、どちらとも上手くいかなくなりました。リスクヘッジのために2社に分けたのに、両方が同時にトラブルを起こしてしまったのです。売るものがなければ会社も潰れるのは、至極当たり前の話ですけれども。