イマドキの新人研修

 4月に入社したのにもう辞めた新入社員の噂も耳にしますが、仕事には慣れましたでしょうか?

 人手はシルバーに頼りっきりで新卒の面倒を見るというのはしばらくやっていませんが、取引先に新入社員のお守りをさせる会社に迷惑を被っています。

 連れて来て「よろしく頼むよ」ってのではないのですが、社内で教えるシステムが出来てないのに外に出しちゃうので、結果的に取引先であるこちらが教えないといけないハメになります。

 教えるシステムというと、マニュアルを作って研修するとかということを想像しますが、そういうことではありません。仕事内容が分からない内に教えたって、何の役にもたちゃしません。

 そもそも仕事を教える必要はないと思っています。わからないことは先輩に聞けよ!と思うのです。

 ですから正確に言うと、「教えるシステム」というより「聞けば答えるシステム」だと思いますが、これが出来ていないと感じる会社があります。先輩が聞いても答えてくれないのか、自分で調べろと言われたのか、そういうもんだと思っているのか、下知識もなしにいきなり取引先に聞いてきます。

 朝、得意先の新入社員からこんな電話がかかってきました。
「御社の♯ΔΨという商品の衿はどんな形ですか?」
 カタログ見ろよ!衿なんてないから…と言いたいところをがまんして、にこやかに「Vネックです。」と答えました。

「Vネックはどれくらい開いているんですか?」
「天下がり○cmです。」
「それは着た時にどのあたりにきますか?」
「下目のVですから、体格のよい方は谷間が見えそうな程度です。一枚で着るとセクシーな感じですね。」
「同じ素材で余り開いてないものはありませんか?」
「在庫は少ないですが、♯△∀という天下がり×cmのものもあります。ですがこちらは横に広がって開いています。Vが鈍角ですがいいですか?」
「わかりました。他にはないですか?」
「日数がかかりますが小ロットで別注もできますよ。」
「また連絡します。ありがとうございました。」

 カタログをロクに見ずに聞いてくるベテランもたくさんいますので、こんな会話はさほど問題ないのですが、迷惑なのはこの後。昼過ぎに別の新入社員から電話がかかってきました。

「御社の♯ΔΨという商品より開きの少ない商品はありませんか?」

「ありますが若干天幅が広くなります。日数は…以下同文」
「わかりました。ありがとうございました。」

 夕方も違う新入社員からかかってきました。
「御社の♯ΔΨという商品… 以下同文」

 よどみなく以下同文で返しました。

 注文は未だに来ませんし、また連絡も来ません。何だったんでしよう?

 取引先に電話をかける練習だったら勘弁してください。